「怠けアリにも働きあり?」では人の場合は??

「アリの集団は常に全ての個体が働くより、働かないアリがいた方が長く存続できる。」

ある大学院の研究チームが、コンピューターのシミュレーションをもとに突き止めたとのことで、今日の日経新聞の朝刊に掲載されていました。

記事によると、働き者のアリが疲れて休んだ時に、怠け者とみられていたアリが代わりに働くことで、種の存続に欠かせない「卵の世話」を絶やさずに済むというのが理由です。

アリやハチといった「社会性昆虫」の集団には、ほとんど働かない個体が常に2~3割存在するとのこと。種を絶やさないための生物の知恵には、ただただ感心するばかりです。

なお、記事の最後に、研究チームの教授の話しが紹介されていました。

「組織運営に当たり、長期的存続の観点を含めて考えることの重要性が示された。会社で働かないと思われている人も、相対的に腰が重いだけで、ピンチとなれば活躍する可能性はある」

教授の話のとおり、人の世界においても「活躍する可能性」はあると思いつつも、今日においては活躍できる場面も限定的では?と思ったりもします。

 

100m走とプログラミング

説明のため、敢えて極端な事例を書いてみます。

<100m走>

例えば、100m走のタイムで作業効率を考えてみましょう。

・トップアスリート: 約10秒
・一般成人男性平均: 約20秒?(詳しく知りませんが大体これくらいでしょうか)

つまり、身体能力だけの作業効率の差は2倍。あっても2.5倍でしょう。

 

<プログラミング>

これに対し、スキルが求められるプログラミングの場合はどうでしょう。

プログラミングによる成果物を考えたとき、スキルあるプログラマーと、そうではないプログラマーの時間当たりの作業効率の差は10倍あるいは、100倍も超えてしまうかもしれません。

私はプログラマーでもなければ、プログラミングもよくわかりません。ただ、プログラミングに限らずスキル等による差は、身体能力に依存するものの差とは比較にならないくらいの違いがあると思います。格差社会というのはその一面でしょう。

つまり、身体に依存した作業が中心のアリの世界の話しは、産業構造の変化によって、身体からスキル等への依存が高まっている人間の世界には、当てはまらないケースがほとんどでは?ということです。

スキルは、仕事や自己学習によって磨くほかなく、それを怠っている人が、同僚が倒れたときに組織を救う、なんてことは通常考えられないからです。

ところで、話しは戻りますが、アリの世界にも実は高度なスキルがあるかもしれませんね。ただ、この場合には、「働かないアリがいた方が長く存続できる」という前提が崩れてしまいますが・・。

 

アリも人間も一緒なのは・・

いずれにしても、組織のメンバーの2割は働きが悪い、というのは良く聞く話しです。

・2割 よく働く(貢献度高い)
・6割 まあまあ働く(まあまあ貢献)
・2割 あまり働かない(貢献度低い)

これは、アリも人間も一緒なのかな~と思います。

貢献度の低い2割のレベルアップによって全体の底上げをしつつ、貢献度の高い上位2割には辞められないよう魅力ある組織にしていく。

経営の難しい部分でもあり経営者の手腕が発揮されるところかと思います。

 

なお、題材とした日経新聞の記事のタイトルは、怠けアリにも働きあり?」

見事なタイトルです(笑)。