先日、IoT(Internet of Things)による製造業のサービス業化について書きました。
そのブログの後段で、IoT化について次のような趣旨のことを書きました。
・IoT化は、センサーがつけられた「物」がインターネットにつながることで、センサーで得られた情報をもとに、ネットワーク経由で新たな付加価値が提供される。
・物、センサー、ネットワーク、情報処理装置という4つを組み込めることが、IoT化の前提条件になり、対象は電気製品などが中心になる。
・では、サービス業のIoT化というのはあるのか。また、会計事務所のサービスのIoT化とは・・。
というわけで、「サービス業のIoT化」についてネット検索したところ、関連する情報がありましたので整理するとともに、会計事務所のサービスのIoT化について考えてみました。
サービス業のIoT化の事例
※いずれも2015年8月の日本経済新聞・電子版の情報を要約
1.配送サービスのIoT化(スペイン)
サービスの業態 : 洋菓子の製造・販売(配送)
センサーの対象物: 配送用の保冷トラック
得られる情報 : 車両の位置と商品の温度管理に関するリアルタイム情報
新たな付加価値 : 配送時の遅延に伴う品質劣化等に対し事前に手を打てる
⇒ つまり、確かな品質の商品を確実に届ける、ということだと思います。
2.ウォルトディズニーワールドリゾート(米国)
サービスの業態 : テーマパーク
センサーの対象物: 「MagicBand」という腕にはめるリング
乗せる情報 : チケットの有効性、個人の名前など
新たな付加価値 : ミッキーなどが自分の名前を呼んで挨拶してくれる
これ以外に、スマホのアプリで園内のレストランを予約しておくと、入店時に名前を呼んでくれ、テーブルには予約時に注文した料理が自動的に運ばれてくるとのこと。
自分の名前を呼んでくれるのは、人によっては感動的なサービスと思いますが、IoT化ならではの付加価値かどうかよくわかりません。今後に期待しましょう。
2つの事例を挙げてみましたが、いずれも、サービス提供の過程で介在している「物」にセンサー等を組み込んだパターンで、これ以外に求めている情報は見つけられませんでした。
一般的な会計事務所のサービスでは、物が介在するケースは想定しづらいため、上記事例の応用はできません。
よって、私なりに「会計事務所にとってのIoT化とは」について考えてみました。
会計事務所にとってのIoTとは?
あくまでも私が理解しているIoT化を前提に書きます。よって、専門家の方から「違うよ~」とご意見いただくかもしれませんが、その場合はご容赦ください。
形式的には前述のとおり、物・センサー・ネットワーク・情報処理装置の4つが必須と思います。しかし、機能面に着目すれば見方が変わります。
顧客に提供した製品・サービスを通じ、使用状況や使い勝手に関する情報などを集め、新たな価値を提供する。これがIoT化の意味するところだと考えています。
このことを前提に、新たな価値について具体的に考えてみました。
1.リアルタイムの情報共有
オンライン又はクラウド化による会計データ等の情報共有や会計処理の短縮化
2.価値ある情報提供
提供中のサービスへの「使用感」に関する情報を自ら集め、サービス改善や新たな価値提供に活かす
<提供しているサービス>
・月次や決算時の報告用資料
・質問事項への回答
・顧客に関連する外部環境についての情報 など
使用感に関する情報を集めるためには、まず提供サービスを十分に活用してもらう必要があります。よって、わかり易く・使い勝手がよく・有用な情報提供が欠かせないと思います。
3.先回りした情報提供
クライアントから得られた情報をもとに先回りした情報の提供
例えば、新しい事業を検討するといったときであれば、事業・資金計画は勿論、
①認定基準の充足見込みは?
②変更認定申請が必要かそれとも既存事業の枠内か?
③定款変更の必要性は?
など、新しい事業という「キー」となる計画をもとに、先回りして情報提供するということです。
IoT化の視点から新たな価値について考えてみたものの、目新しいことは思いつきませんでした。いずれも現在提供中またはその延長線上にあるサービスにすぎません。
ただ今回の検討によって、特に2や3については、より広く、深く、かつ的確な情報提供を行うことの必要性を再認識しました。
現時点での会計事務所のサービスが人的サービスである以上、自身が、物であり、センサーであり、ネットワークであり、そして情報処理装置ということだと思います。
世のIoT化という視点からも、日々の自己研鑽は欠かせないということでしょう。