前回のブログで、予算の流用や補正が必要なケースについて書きました。
今回は、費用が執行超過になった場合の対応として、予算の流用や補正の取扱について具体的な数値を使って確認したいと思います。
1.予算の流用
予算の流用とは、執行超過(予算残高がマイナス)の科目に、予算が余っている科目の予算額を付け替えることをいいます。
科目間で融通しあうことで、科目の枠を超え執行超過への対応を図ろうということです。
では、科目間の流用をどこまで認めるのが適当でしょうか。
費用についていえば、会計区分があり、事業区分があり、事業費・管理費があって、各科目があるわけですが、全ての垣根を超え無制限に流用を認めてしまっては、何のための予算かわからなくなります。
事業報告と事業計画、それぞれの定期提出書類における公益認定法の財務三基準(※)の判定が、会計区分毎の数値管理を前提としている点を考慮すれば、予算の流用も会計区分毎に管理するのが適当でしょう。
※公益認定法の財務三基準
1. 公益目的事業比率50%以上
2 .収支相償
3. 遊休財産保有制限
つまり、同一会計区分の科目間でのみ予算の流用を認め、会計区分をまたぐことになる事業費と管理費の間の流用は認めない、ということです。
予算の流用の具体例
上記を踏まえ、事例をもとに取扱いを示すと次のとおりです。
①取扱例 : 同一会計区分内の科目間での流用を代表理事の承認事項とする
②事例 : 公益会計で、修理予定だった固定資産を買い替えに変更
③流用内容 : 修繕費から減価償却費へ100流用
<当初予算> <増減> <流用後予算>
事業費/修繕費 100 △100 0
事業費/減価償却費 50 100 150
④手続き: 代表理事承認、理事会(及び総会・評議員会)へ報告
2.予算の補正
執行超過について、予算の流用で対応できない場合には、予算の補正を検討することになります。
定款上、「予算を変更する場合には理事会(及び総会・評議員会)の承認を得る」 と規定されている法人が多いと思いますので、予算の補正もこれに従うことになります。
事例をもとに具体的取り扱いを以下に記します。
予算の補正の具体例
①内容: 執行超過への対応として補正予算を組む
②事例: 突発の修繕のため予算を補正
<当初予算> <増減> <補正後予算>
事業費/修繕費 50 100 150
③手続き: 理事会(及び総会・評議員会)承認
※流用と補正の順番は?
予算の流用と補正の順番ですが、流用から先に検討いただくのが適当と思います。
つまり、機関承認された予算総額の範囲内での流用による対応をまず検討し、これでも対応しきれない場合に補正予算を組む、という流れです。
(参考)予備費の取扱
予備費については、設けていない法人が多いと思います。
公益法人会計基準の科目体系にないことが大きな要因と思いますが、予算科目として設定するか否かは、これまでの慣例や必要性に応じ検討することになります。
ここで、予備費を設定している場合の取扱いについてみてみましょう。
予備費の使用は、上記1の予算流用で対応しきれない場合に検討することになり、事例をもとに具体的取り扱いを記すと次のとおりです。
①取扱例: 執行超過への対応として予備費の充当を代表理事の承認事項とする
②事例 : 突発の修繕のため予備費を充当(使用)
<当初予算> <増減> <充当後予算>
事業費/修繕費 50 100 150
予備費 500 △100 400
③手続き: 代表理事承認、理事会(及び総会・評議員会)報告