公益法人の立入検査対策として、行政庁から公開されている資料とチェックリストについて、4回にわたりブログで紹介してきました。
今回はこれらについてのまとめの回とします。
検査の項目は3つ
これまでチェックリストでみてきたとおりチェック項目は多岐に渡りますが、大別すると次の3項目に集約されます。
1.公益目的事業
認定を受けた公益目的事業の、申請書・報告書の内容との整合性に関する項目
2.機関・組織等
法律上の役員や理事会等のほか委員会の任意機関、諸規程等に関する項目
3.財務・経理
財務三基準をはじめ認定基準関連のほか、現金管理や支払決済といった経理に関する項目
そして、これら項目に対する検査のポイントは、内閣府の立入検査の考え方で示されているとおり「実地ならではの事項に注目」ということです。
以上のことから、立入検査対策として確認すべき項目を整理すると次のとおりです。
立入検査対策としての確認項目
1.公益目的事業
認定を受けた公益目的事業の、申請書・報告書の内容との整合性に関する項目
・申請書等の記載どおり不特定多数に向けた活動か(機関紙配布先や調査結果公表等)
・申請書で読み取れない新規事業はないか(ある場合には変更認定申請が必要)
2.機関・組織等
法律上の役員や理事会等のほか委員会の任意機関、諸規程等に関する項目
<役員>
履歴書、就任承諾書、宣誓書等(欠格事由の確認方法)、
登記・行政庁届出との整合性、任期確認等
<理事会・総会・評議員会>
招集手続き、開催・決議要件充足状況、決議の省略、
業務執行の理事会報告、監事の機能状況、監査報告書、議事録等
<任意機関>
委員等の選定、理事会等の権限の浸食ないか等
<諸規程等>
定款記載の諸規程等の整備状況等
3.財務・経理
財務三基準をはじめ認定基準関連のほか、現金管理や支払決済といった経理に関する項目
<財務>
財務三基準(公益目的事業比率、収支相償、遊休財産保有制限)、
共通収益・費用の配賦、過年度増減の妥当性等
<経理>
現金預金の管理、経理担当と管理者及び出納担当と決裁担当の分離状況、
稟議書、契約書(賃貸・リース・委託)、寄附申込書・領収書控え、固定資産の管理、
情報公開、公告の事務所掲示状況(定款上、事務所掲示としている場合)等
終わりに・・
事前準備はしっかりと
「○○の書類は?」と聞かれたときに、あたふたと探しに行くのと、すぐに整理されたファイルを提示するのとでは印象が全く異なります。
慌てて探しに行く様子を目にすれば、「あれこの法人大丈夫かな、見落としがあってはいけないな」という思いになるのが通常でしょう。これに対し、後者であれば、見落としても、とはならないでしょうが、好印象で検査が進むことと思います。
分からない点は聞く
「あれっ?」と思うような指摘を受けた場合は、検査官に法令根拠を含め確認しましょう。
監督は、法令に基づき、支援の視点を持って行うとされ、求められれば制度の詳細説明等を行う、というのが立入検査の考え方として示されています。双方誤解のないように検査を進めるうえで重要なことです。
なお、公益財団法人公益法人協会より「立入検査について-そのポイントと対策-」というタイトルの書籍が発刊されています。実際に立入検査を受けた公益法人の視点からも記載されているため、よりイメージが湧くことと思います。