7/27付けで、内閣府より「平成28年度公益法人の寄附金収入に関する実態調査」と題し、調査結果資料が公表されています。
「平成28年度公益法人の寄附金収入に関する実態調査」(内閣府公益法人information)
調査の目的は、寄附の税額控除制度の有効利用を図るためのもので、全国全ての公益法人9,454法人を対象にし、5,443法人から回答が得られたようです。
調査結果の詳細については概要及び報告書をご覧いただくとして、ここでは私が気になった事項について2点記したいと思います。
1. 周知が進まない税額控除制度
前年4月に税額控除制度のPST要件が緩和されましたが、約7割の法人が緩和されたことを把握していませんでした。(PST要件自体を知らない法人含む)
また、調査時点における実際の税額控除対象法人の割合は11.6%なのに対し、法人側の認識に基づく回答では25.3%が税額控除対象法人と回答していたようで、実際と認識には大きなかい離があります。
法人側の認識は特定公益増進法人との混同とも思われますが、いずれにせよ周知はまだまだ進んでいないようです。
2. 税額控除対象法人 ⇒ すぐ寄附が増えるわけではない
税額控除制度の有用性を確認するため、税額控除対象法人になる前となった後の年度での寄附金・寄附件数の増減状況が示されています。
事業規模などの要素も加え多面的に示されていますが、増加しているケースもあれば逆に減少しているケースもあり、全体的に見れば大きな変化(増加)はないような印象を受けます。
ただ、寄附を増やすための有力な手段であることに変わりはないため、税額控除制度の活用を含め、戦略的に資金集めに取り組むことが重要だと思います。