日本ポニーベースボール協会の公益認定取り消しの勧告(公益認定等委員会→行政庁)

2/26付けで公益認定等委員会より行政庁(内閣総理大臣)に対し、公益社団法人日ポニーベースボール協会に関する勧告が出されました。

※勧告書の全文は、以下公益法人インフォメーションのリンク先を参照ください。
公益社団法人日本ポニーベースボール協会に関する勧告について

 

ポニーリーグという少年野球を運営する協会で、勧告書によると、公益認定を受けてからの4年間、社員総会を一度も開催していなかったとのことで、これが認定取り消しの勧告に至った主な理由です。

平成23年6月1日に公益認定を受けて以降、平成26年度まで一度も総会を開催せず、行政庁への事業報告においては、開催している旨の虚偽の報告をしていたとのこと。総会議事録の偽造のほか、理事の退任届や理事会議事録も偽造し、役員の変更については、事実と異なる登記をしていたようです。

今回の公益認定取り消しの勧告は、法人への是正勧告を経ずに出された異例なケース。過去になかったように思います。

なお、勧告理由を要約すると次のとおりです。

 

勧告理由(要約)

・社員総会の未開催
 ⇒ 一般法人法違反(36条社員総会の招集、63条役員等の選任、89条理事等の報酬)

・行政庁への虚偽報告
 ⇒ 公益認定法22条の趣旨に反する行為

・事実と異なる登記
 ⇒ 刑法、私文書偽造等、公正証書原本不事実記載等への抵触

・上記事態に関し、責任の所在を明らかにしていない
 ⇒ 公益認定法の技術的能力が確保されていない

以上により、「認定基準の技術的能力がない」、「法令違反」という2つの理由から取り消しの勧告に至ったようです。

 

その他明らかになった事実

1.問題点への指摘後の法令違反

総会の議題に関し「社員総会の目的である事項」以外の事項についての社員提案権による決議や、理事会の招集手続きの省略に関し、理事等全員の同意が得られていないなど、直前に認定等委員会から法人運営の適正化が求められていたにもかかわらず蔑ろに。
 ⇒ 法令遵守の意識の欠如

2.少年への暴言・暴力

少年への暴言・暴力が発生し、加害者のうち一人は事務局に在籍していることが判明。この体制では、今後同様の事態が生じた場合に、適切な対応がとられることは到底期待できない。
 ⇒ 役員の運営能力の欠如

3.ずさんな法人運営

不適切な印章管理や経理処理があったほか、監事からの指摘に対しては、責任の所在を明らかにしないなど真摯な対応を行わなかった。
 ⇒ 自律的な運営改善の期待は困難

勧告書の最後に、「公益認定の取消しの妥当性」として次のことが書かれています。

・公益法人は法令に基づく適切なガバナンスの構築が求められる
・万一不適切な行為があったとしても、自治による運営改善が期待される
・しかし、前述の行為を繰り返す法人に、安心できる競技環境の構築を期待することは極めて困難
・また、このような法人が公益法人であり続けることは、世間に誤ったイメージを与えてしまう

以上により、これら実態を国民に明らかにし、早急に公益認定を取り消すことが妥当。