以前に公益法人の立入検査対策として、行政庁から公開されている資料とチェックリストの概要について書きました。
また、公開されている資料等のうち、チェックリストについては、これまでに鹿児島県と滋賀県のものをみてきました。
今回は、最後に残った京都府のチェックリストをみていきます。
※ 京都府・立入検査チェックリスト ※資料の64~73頁 全10頁(事業報告分含む)
全10頁で構成されていますが、事業報告分を除くとわずか5頁。
これまでみてきた鹿児島県や滋賀県のものと比べ、非常にコンパクトにまとめられています。
全体の構成について確認したのち、各チェック項目の概要について記載します。
全体の構成
- 事業関係
- 財務以外の基準関係
- ガバナンス関係
- 財務基準関係
- 会計関係
- その他
※見出しはわずか6項目と非常にコンパクト
各チェック項目
チェック項目のうち主なもを以下に記します。
1.事業関係
・公益事業 → 事業内容について、申請時や前年度との比較や規程等の整備状況
・技術的能力 → 許認可の有無・期限と、業務委託の内容・相手先・契約方法
・収益事業等 → 申請時と前年度との比較と、収益状況
・改善状況 → 申請や立入検査時の指摘事項についての改善状況
・特別の利益 → 役員等への委託や、競業・利益相反取引
2.財務以外の基準関係
・経理的基礎 → 監事の資格や経理事務経験
・役員等の構成 → 欠格事由、同一親族・団体1/3規定の根拠としての履歴書等
・役員等の報酬 → 支給基準と支給状況、現物給付やお車代などの取扱
・社員の資格 → 会員規程、入会申込書、会員名簿等の管理状況
・株式等の保有 → 有価証券の残高証明書(他団体の意思決定関与の視点)
3.ガバナンス関係
・社員総会等 → 総会・評議員会・理事会の招集手続きや参加状況
・決算手続 → 監査報告書の記載内容、定時総会招集通知への計算書類添付等
・諸規程 → 定款記載の諸規程等の整備状況
・役員選任手続 → 個別決議、任期の確認等
・変更届出 → 役員や定款の変更等(届出が必要な状況にないか)
・公告 → 定款規定との整合性(例:事務所掲示等)
・備置き → 計算書類等の法定の書類が備置き状況
4.財務基準関係
・公益目的事業比率 → 50%未満の場合の改善計画や、配賦基準の根拠等
・収支相償 → 満たさない場合の理由と対応内容等
・遊休財産保有制限 → 控除対象財産が金融資産の場合の管理状況等
・移行の前日の財産目録(移行初年度のみ)→ 控除対象財産の申請時からの増減
5.会計関係
・経理的基礎 → 経理規程・会計帳簿・業務分掌等と、現金預金の管理状況等
・財産目録等 → 過年度比増減、現預金・棚卸資産等の実査、未収金等の残高内訳
・損益計算書 → 過年度比増減、評価損益、雑収益・雑費、経常外収益・費用等
・特別の利益 → 貸付金・寄附金・交際費等の科目、関連当事者取引等
6.その他
・公益目的取得財産残額 → 別表Hと計算書類等の整合性
※ 事業内容についての申請時や前年度との比較や、貸借対照表・損益計算書の過年度との比較など、過去との対比から問題点を探ろうという意向が見えます。