分かりづらく紛らわしい法令用語 ~規程と規定、選任と選定、・・~

規程と規定?、選任と選定??、などなど・・

新規の法人設立や公益法人申請のサポートにおいて、必ずといっていいほど整理が必要になる用語です。

法人設立等に向けた準備では定款や規程の検討が必要になりますが、その検討において分かりづらく紛らわしいのが法令用語。

そこで今回は、公益法人の定款や規程の検討において、必ず出てくる「知らなきゃわからない法令用語」をいくつか紹介します。

 

1.規程と規定

読みはいずれも「きてい」です。

2つの漢字があることは知っていても、意味・用法の違いを知らない方は意外と多く、士業でも知らない方がいます。

<意味>

規程: 定められた個々の条項をまとめた「全体」の総称のこと
規定: 規程の中の「個々」の条項のこと

<使い方>

「当法人の会費についての取扱いは、会員規程の第7条に規定している」

※規則

似たような用語として「規則」があります。

前述の規程と同様に、定められた個々の条項をまとめた「全体」の総称のことをいいますが、位置づけとしては規程の下になります。より実務的な内容をまとめたマニュアルのようなイメージでしょうか。

定款 ⇒ 規程 ⇒ 規則 といった順番になります。

なお、この用語は、日本の法令体系においても位置づけられていて、
法律 ⇒ 政令 ⇒ 規則 の順に上位関係が決まっています。

 

2.選任と選定

定款等において、いずれも人を選ぶ際に使われる法令用語ですが、使い方は異なります。

<意味>

選任: 特定の地位や任務に就かせるために人を選ぶこと
選定: 選任された人の中から、さらに人を選ぶこと

<使い方>

「社員総会(又は評議員会)で理事を選任し、理事会で理事の中から代表理事を選定する」

※ただし、選任・選定を併用しない場合には、上記の「選定」の使用場面でも、選任を使えるようです。

※選考

選任・選定と似た用語として「選考」があります。

「能力・人柄などをよく調べて適格者を選び出すこと」(デジタル大辞泉)とされています。

意味だけでは前述の選任・選定との違いが分かりづらいですが、用法としては、受賞者や奨学生の「選考」等に使われます。

 

3.決議と議決

漢字をひっくり返しただけですが、意味が異なります。

<意味>

決議: 決定した結果
議決: 決定する行為

※ただし、稀にそれぞれ反対の意味で使用されているケースもあるようです。

<使い方>

「理事会の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。」

→ 決議を「決定した結果」に、議決を「決定する行為」に読みかえるとよりわかり易いと思います。

※承認

決議と議決に似た用語として「承認」があります。

日常的に使われる事実を認めるという意味のほかに、理事会などでの決議事項に対する同意の意味で使われます。