平成28年税制改正大綱が決定されました。
最大のポイントは、デフレ脱却・日本経済再生に向けた法人実効税率20%台の実現です。
(平成28年度29.97%)
その他、建物附属設備等の減価償却方法の定額法への一本化など、様々な改正項目が
ありますが、公益法人等の方々に抑えておいていただきたい項目をまとめてみます。
税額控除対象法人の要件の緩和
パブリック・サポート・テスト(PST)の要件が緩和されました。
PSTの絶対値要件が、以下のとおり公益目的事業費の額に応じ引き下げられます。
現行 : 年平均 100 人以上
改正後: 年平均(公益目的事業費÷100万)人以上 ※最低10人
例1) 公益目的事業費 1億円 ⇒ 100人以上(1億÷100万)
例2) 公益目的事業費 3千万円 ⇒ 30人以上(3千万÷100万)
例3) 公益目的事業費 8百万円 ⇒ 10人以上(8百万÷100万<10)
なお、寄附金額の年平均30万円以上という要件は、従来通りで変わりません。
■税額控除対象法人とは
公益法人等のうち、寄附者からの支持が相当数あると認められた法人で、
支持ありと認められるためには、次のいずれかの要件をクリアする必要があります。
絶対値要件: 年間3千円以上の寄附者 ≧ 100人(年平均)※今回改正で緩和
相対値要件: 寄附金等の収入金額 ÷ 経常収入金額 ≧ 20%
税額控除対象法人への寄附者は、所得税の申告にあたり、所得控除か税額控除のうち、
いずれか有利な(税額が抑えられる)方を選択できるようになります。
※通常の公益法人への寄附の場合は所得控除のみ
一般的には、この税額控除を選択したほうが有利なケースがほとんどだと思います。
寄附金控除の領収書の電子交付が可能に
寄附金控除の適用にあたって確定申告書に添付する領収書については、メールで
受信したデータを、一定の方法により印刷したものも認められることになりました。
(平成30年分以後の所得税から適用)
今までは書面しか認められていませんでしたが、この改正により、
寄附を受ける公益法人サイドの事務・コスト負担は軽減されることと思います。
ただ、「一定の方法による印刷」というのがどういうものか気になるところです。
奨学金に係る契約書の印紙税が非課税に
修学が困難な学生へ、資金を貸付ける場合の契約書の印紙税が、非課税になりました。
無利息その他一定の条件で行われる、学資としての資金の貸付で、文部科学大臣の
確認を受けた場合には、平成28年4月1日~平成31年3月31日の間に作成されるもの
に限って、印紙税が非課税になります。
公益法人等の課税のあり方についての継続検討
軽減税率とみなし寄附金、2つの制度が適用される収益事業の課税制度について、
過剰な支援制度になっていないか実態を検証し、課税のあり方について引き続き
検討されることになりました。
消費税の軽減税率制度
平成29年4月の消費税率10%への改正を見据え、軽減税率が導入される予定です。
軽減税率の対象品目は、
飲食料品(酒類と外食除く)と新聞(定期購読され週2回以上発行のもの)で、
書籍や雑誌については、意義等を勘案して引き続き検討することとされています。
なお、飲食料品と、書籍や雑誌の軽減税率の線引きについては、
今後状況を見てあらためてブログで記載したいと思います。