消費税の軽減税率8%対象のまとめ

消費税の軽減税率制度のいわゆる「線引き」については、
連日、新聞や報道等で取り上げられていますね。

そもそも低所得者対策として適当か?との疑問はありますが、
税制改正大綱に織り込まれていますので、
現時点でわかっている部分について整理したいと思います。

軽減税率8%の対象品は、大きく分けて次の2つに分類されます。

◇ 飲食料品(酒類、外食を除く)
◇ 新聞・書籍・雑誌

非常にシンプルにみえますが、
8%と10%を区分する上で、曖昧な取引が色々とあります。
それぞれについて、線引きをみていきましょう。

軽減税率

◇ 飲食料品(酒類、外食を除く)

1.「外食」か、それ以外か

吉野家やマクドナルドなど、店内での飲食と、テイクアウトが選べるケースでは、
店内での飲食は10%、テイクアウトすれば8%。これが基本的な考え方ですね。

 

1)コンビニ

では、コンビニで弁当を買い、店内で食べた場合はどうでしょう。
最近は、店内にイートイン・スペースを設けるコンビニも増えてきました。

この場合、テイクアウトは勿論、イートイン・スペースでの飲食も基本的に8%。
店内にもかかわらず8%なのは、持ち帰りを前提とした商品だからとのことです。

「基本的に」と記載したのは、コンビニ内で調理したものを、
返却が必要な容器に入れ、提供された場合等には、10%とされているためです。
いわゆるフードコードのような形態ですね。

 

2)たこ焼き屋

また、たこ焼き屋のように、テイクアウトを前提としつつも、
お店の前にイスやテーブルがある場合はどうでしょう。

大型商業施設などのフードコートの場合は一律で10%、
それ以外の施設形態の場合はというと、今のところ不明なようです。

具体的には、
たこ焼き屋などで、お店の前に置いてあるベンチで食べた場合などです。

 

3)その他グレーなもの

これ以外に、航空機の機内食や、ホテルのルームサービスなどが、
グレーな(線引きが難しい)ものとして取り上げられています。

 

2.「飲食料品」か、それ以外か

 

1)酒類

酒類は、8%となる飲食料品から除かれているので10%になります。
ビールは10%ですが、ノンアルコールビールなら8%、ということです。

紛らわしいものとして、
みりん・料理酒・水がありますが、次のように分類されます。

みりん: 酒類に分類され10%。ただし、みりん風味調味料は8%。
料理酒: 基本的に8%。食塩等の添加物が多く飲みづらい、との理由からです。
水: ミネラルウォーターなら8%ですが、水道水は10%。食品表示法の対象か否かが境界です。

 

2)セット品

玩具や食器類が、飲食料品にセットになっているケースについても線引きされています。
玩具はマクドナルドのハッピーセット、食器類は漆器入りのおせちをを思い浮かべていただければと思います。

線引きのポイントは、メインが飲食料品かどうか、という点になります。
「メイン」かどうかは、金額換算で半額以上、という説が有力です。

よって、ハッピーセットは飲食料品に該当し8%。
漆器入りのおせちも、基本的には8%になります。

ただ、漆器入りで高額なおせちの場合には10%、という整理になるようです。
「高額」の基準は今のところ不明ですが、1万円超という見方が有力です。

なお、たとえ高額なおせちでも、使い捨て容器に入ったものであれば8%。
漆器入りの高額おせちでも、漆器とおせちの金額が区分されている場合には、
漆器分は10%ですが、おせちは飲食料品のため8%。

この辺りはややこしいです。

 

◇ 新聞・書籍・雑誌

新聞は、週2回以上発行され定期購読する場合には、8%対象とされました。
スポーツ紙も含め軽減税率の対象です。

なお、書籍、雑誌については、有害な図書を線引きする仕組みがないとの理由から
現時点では結論は出ておらず、継続して検討されるようです。

 

終わりに

消費税の軽減税率は、税率アップに伴う低所得者対策とされていますが、
趣旨からすれば、給付付き税額控除(※)のほうがマッチすると思います。
(※)所得税の税額控除制度で、控除しきれなかった額を現金支給する制度

軽減税率により、線引きのややこしい問題が、事業者・消費者に生じるだけでなく、
軽減対象品を扱う業界団体と政治の関係性もとりざたされています。

このほか、低所得者対策といいつつも、高所得世帯への恩恵のほうが大きい点や、
導入に伴う減収額を埋める財源をどうするかなど、様々な問題をはらんでいます。

 

このように軽減税率に関する問題はつきませんが、
グレーなものについて今後、取扱いが明確になりましたら、
あらためて整理したいと思います。